「デスクを飾る」据え置きDAC出た!MUSEHiFi MUSE300実機レビュー

MUSEHIFI MUSE300をデスクに設置している様子

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この記事の著者

デスクセットアッパー

翁(おきな)

オッキーナ

プロフィール

ガジェットが好きな38歳/ ブロガー歴8年/ レビュー数390品以上(うちイヤホン180種類以上)/ Xフォロワー数8,200人突破/ YouTubeチャンネル開設(奮闘中…)/ 【ネオジャパンデスクセットアッパー】と称して日本みのある独自のデスク環境を構築中/ 普段はサラリーマン/ 4児の父/ “みんなといっしょ”が苦手なタイプ

どうも、翁(@okinalog)です。

据え置きDACというと小型のビデオデッキのような、無骨で少しエンジニア感のあるものが多い。

用途的にもあくまでも脇役気質な立ち位置のアイテムではあるんだけど、今回MUSEHiFiから出たDAC「MUSE300」は少し毛色が違う。というかかなり違う。

MUSEHIFI MUSE300のパッケージ

5インチ大型ディスプレイを搭載し、傾斜の付いた形状で、デスクで主役を張るくらいの主張の強いものになっている。

チップにはES9039 Ultraを採用し、世界初の据え置きDACに独自OSを搭載。

単なるDAC/AMPの域を超えて新しいスタイルを打ち出してきている。

ただ1点、さいしょに言っておくと本機はタッチパネルではないからそこは注意が必要だ。ってことも踏まえて、実機レビューしていく。

商品提供:HiFiGo

デスクで圧倒的存在感を放つビジュ

MUSEHIFI MUSE300パッケージを開封した様子

まず開封すると出てくるMUSE300本体の存在感に驚く。

全然据え置きDACのナリじゃない。

電源を入れる前のMUSEHIFI MUSE300

「画面でか!」「本体斜めってる!」「高級感半端な!」の3つが同時に脳内を闊歩する。CNC加工されたアルミニウム合金筐体の雰囲気も相まって高級ホテルのベッド横にあっても違和感ないくらいのモダンさと何かやってくれそうなワクワク感。

サイズは、ヨコ227×タテ97×奥行135mm

先日レビューしたTOPPINGの据え置きDAC「DX1 II」が100×100mmだから横幅でみれば2倍の大きさ。

圧倒的存在感。

MUSEHIFI MUSE300をデスクに設置して生活している様子

5インチディスプレイはIPSで解像度は854×480。一般的な据え置きDACのものと比べるとかなり大きい。

IPSだから視野角も広いからデスク端っこに設置しても画面を見やすい。

ただし、タッチパネルではないのよ。これだけ画面大きいのに!?ってなるけど、対応してない。そこは残念なところ。

MUSEHIFI MUSE300の美しいディスプレイ

インターフェースは8割が背面に集約。

種類インターフェース用途
入力USBPCなどからデジタル入力
入力Optical(光デジタル)PC・テレビ・トランスポートなど
入力Coaxial(同軸デジタル)CDトランスポートなど
入力Bluetooth 5.4スマホなどからワイヤレス入力
ライン出力RCAアンプ・アクティブスピーカーなど
ライン出力XLRバランスライン出力

Bluetoothは入力限定で、出力には対応していない。ただ、チップはQCC3095を採用しているのでLDAC,aptX LosslessやSnapdragon Soundにも対応している。

残りイヤホンジャックは6.3mmと4.4mmが本体右側面に用意されている。6.3mm to 3.5mmアダプタも付属しているから3.5mmイヤホンしか持っていないって人も安心してほしい。

画面横にはダイヤルがひとつだけ設けられていて、うっすらとバックライトが灯っていてこれまたかっこいい。

回すとコクコクと静かに動き、押し込むとトコっとクリック感が返ってくる。

MUSE OSがこのDACの付加価値

音質確認よりも先に触れるのがMUSE300に搭載された独自OS「MUSE OS」

3つのテーマを基盤に、独特のUIを体験できるスタイルになっている。

  • サイバーパンク:PCのウィンドウにドットが目立つデジタルキャラクターが描かれたファンタジーチックなテーマ
  • ミニマリスト:すっきりとしたモノトーンでシンプルなテーマ
  • ACG:水色ベースで高解像なポップイラストが描かれたテーマ

一般的な据え置きDACでは、小さなディスプレイに入力ソースや音量、サンプリングレートなどが表示される程度だけど、MUSE 300は5インチの大型ディスプレイを活かして、各種設定を画面上で確認・変更できる。

とはいっても操作は簡単で、ダイヤルを押し込んだり回したりするだけ。設定項目も自然な日本語対応でDACに触れたことのある人なら操作できる分かりやすいものになっていて、覚えるのに苦労はしないレベルだ。

設定項目は以下のとおり

項目内容
GainLow,Medium,High
InputBluetooth,USB,Optical,Coaxial
OutputLO(Line Out),PO(Phone Out)
Time時間設定
Filter8種類から選択
Sound Style3種類から選択
Brightnessディスプレイ明るさ(5段階)
Interface Styleテーマを3種類から選択
Screen Saverスクリーンセーバーを5種類から選択
Language英語、日本語、韓国語、フランス語、ドイツ語、ロシア語、アラビア語
Factory Reset工場出荷状態へのリセット
Version Numberファームウェアバージョン情報

テーマによって設定画面のビジュアルまで変わるのも面白い。サイバーパンクなら設定画面までレトロPCっぽくなるなど、それぞれの世界観がしっかり統一されている。

さらにスクリーンセーバーまで5種類から選べるから、「自分のデスクにどう合わせるか…」と考えながらカスタマイズする楽しさもある。

普通のDACなら一度設定したらほとんど触らなくなる画面を、気分に合わせて変えられるっていう音とは直接関係ないこの体験こそMUSE OSを搭載したMUSE 300ならではの付加価値だと感じた。

3つのサウンドモードが楽しめる

今回は、PCとUSB接続でサウンドを試してみた。

試したオーディオは、THIEAUDIO「Cypher」、DUNU「DN242」、ゼンハイザー「IE100Pro」、TANCCHJIM「NORA」

ストリーミングサービスはqobuz

そのうえで、MUSE300は3つのサウンドモードで音色がそれぞれ異なる性質を持っている。

  • バランス:音の輪郭が鮮明で、低音の沈み込みも深く重たく、ハキハキしている。ボーカルの空気感も最もリアル。しっかりがっつり音に浸りたいって時におすすめ
  • チューブ(真空管):全体的に音が一歩後ろに下がり、まろやかさと伸びが目立つようになる。ジャズと相性よすぎ。のんびりまったり流し聴きしたい、癒されたいって時におすすめ
  • ACG:アニソン向けってこともあり明るくてドライで耳当たりが香ばしい、フレッシュな音。歯ごたえのいいサクサクした音を味わいたい時におすすめ

ちなみに、この真空管モード、実は本体内に真空管を搭載しているわけではなくて、あくまでもチューニングでそれっぽい音に寄せているらしい。

MUSEHIFI公式によると、

3つのSound Styleは「lossless analog circuit switching」=アナログ回路をハードウェアレベルで切り替える方式。Tubeモードでは、その回路チューニングによって真空管アンプらしい音を再現。「豊かなミッドベース、密度のあるボーカル、滑らかな音」を狙ったモード

MUSEHIFI MUSE300公式サイトより要約

と書いている。

サウンドモードを切り替える際は内部で一瞬「チ」と音が鳴るのは、内部で物理的に回路を切り替えている音なんだろう。

バランスモード

個人的にはバランスモードがいちばん満腹感を得られる印象で、ほんとバランスのいいクセのないチューニングになっている。

MUSE 300に採用されているDACチップ「ES9039 Ultra」は、第4世代HyperStream® IVアーキテクチャを採用した高ダイナミックレンジ・低歪みを特徴とするチップ。

実際に聴いた印象も、そうしたスペックから想像する方向性と近かった。

全体的にクリーンで見通しがよく、音の重なりも潰れにくい。立体感があって情報量も多く、楽曲の奥で鳴っている小さな音まで拾いやすい。かといって特定の帯域が必要以上に主張する感じもなく、素直に音源へ入り込める。

チューブ(真空管)モード

真空管モードは、バランスモードから切り替えると音の角が取れて全体的に一歩後ろへ下がったようなまろやかな鳴り方に変化する。低〜中域にも厚みが加わったように感じられ、ボーカルも滑らか。

特にジャズとかR&Bとかと相性がよく、のんびり流し聴きしたいときに心地よかった。

懐メロとかも音の広がりが心地よかったな。高橋ひろの『太陽がまた輝くとき』とか、久保田早紀の『異邦人』とかもボーカルの切ない感じがすごくマッチしてた。

ACGモード

いちばんエッジが立つのがACGモード。

エレキとかシンセがタイトにキレよく際立って、米津玄師の『KICK BACK』とかYOASOBIの『アイドル』とかを聴くと、カオスに身を任せることができる。

すごいのは、楽器音はシャキシャキしてるのにボーカルは一切埋もれずに最前に出ていること。だからガチャガチャしてても聴きやすい。

自分の中の生命力を引き出したい時にすごく効きそうなサウンドだ。

8種のデジタルフィルター

MUSE300にはサウンドモードとは別に8種類のデジタルフィルターも搭載されている。

ただ、実際に聞き比べてみたけど体感ではほとんど差を実感できないレベルだった。

ここはより音にこだわる層が音を追い込むのにいじるといいと思う。

ほか据え置きDACとの比較

手持ちの据え置きDAC、TOPPING DX1 II・DX5 II・MUSEHIFI M6Ultraと比較してみた。

先に結論から言うと、MUSE300の立ち位置は音質だけじゃなく、5インチディスプレイとMUSE OSまで含めて「DACを触ること」そのものを楽しむ製品なんだと思う。

音質だけを基準にするとMUSE 300を選ぶ理由はちょっと薄かった。でも、デスクに置いたときの存在感やUI、サウンドモードを切り替えて遊ぶ体験まで含めると、ほかの3台とはかなり違った立ち位置にいるなと。

TOPPING DX1 IIと比較

音質については正直大きな差は感じられなかった。

もちろんサウンドモード次第では音色は異なるから互角とかにはならないけど、「MUSE 300のほうが明確に音がいい」って言えるほどの差は僕には感じられなかった。

ただし、扱いに関しては本体側でなんでも操作できるMUSE300のほうが使いやすい。

DX1 IIは音量上げ下げと入力方式の切り替えを除いてその他細かい設定はPC側Web APPを介していじる。一方でMUSE300はPCは一切触らない。

あと、MUSE300はBluetooth入力に対応しているからスマホサウンドをMUSE300に飛ばして有線イヤホンを楽しめるけど、DX1 IIにはBluetoothは非搭載っていうのも人によっては大きな差かもしれない。

あとはサイズが全く違うってところか。

DX1 IIは10cm四方で据え置きDACのなかでもかなり小ぶりなのが強い。

MUSE300の上にあるのがDX1 II

狭いデスクとか、モノが多いデスク上では置き場所を選ばないDX1 IIのほうが導入しやすい。というか逆にMUSE300が大きすぎる。

純粋にPCからいい音を出したいだけなら、DX1 IIのコスパは相当高い。

TOPPING DX5 IIと比較

DX5 IIも本体だけでかなり細かく設定できるので、操作性だけならMUSE 300に大きなアドバンテージがあるとは感じない。

それでも5インチディスプレイはやっぱり見やすい。今どの入力・出力・ゲイン・サウンドスタイルを選択しているのか視覚的に把握しやすく、設定項目を探すのも楽。スクリーンセーバーもあるし。

一方でDX5 IIは、DACとして必要な情報を小さな筐体にうまくまとめている。

操作できれば十分ならDX5 IIがいい、大画面を含めてDACそのものをデスクで楽しみたいならMUSE 300が面白い。あとはMUSE300がタッチパネル対応だったら、もっと強く推せてたとは思う。(しつこい)

MUSEHiFi M6 Doubleと比較

同じMUSEHiFiが出している製品で、本物の真空管が搭載されているM6 Doubleの真空管モードとも聴き比べてみた。

滑らかで聴きやすいところはすごく似ているけど、M6 Doubleのほうがディテールが細かく楽器音それぞれの輪郭が追いやすく、前後の立体感は強めで楽曲全体の奥行をすごく感じやすかった。

高音域の伸びもM6 Doubleのほうが美しい。

ただM6 DoubleはあくまでもポータブルDACで、MUSE300は据え置きDAC。ディスプレイサイズも操作性も全然ちがう。アニソンモード(ACG)が備わってるっていう点でもMUSE300のほうが音のバリエーションは多い。

ここは生きる世界が違うのでどっちがどうじゃあないか。

気になるところ

「独自OS・大画面搭載」に期待しすぎる

ここは僕の欲張りなところが大きいのかもしれないけど、独自OS搭載・大画面搭載DACと聞いて、てっきりDAPみたいに使えると想像していた。

「本体ストレージに楽曲を保存できて、タッチディスプレイでサラサラと指操作してHiFiサウンドを味わえる」と淡い期待を抱いていた。でも、これだけの大きさで、ここまで画面の主張が強いとそうも思っちゃう。

これだけ大型のディスプレイを搭載しているのに、操作はあくまでもダイヤルに限定されているのがもったいない気がしてならない。

MUSEHIFI MUSE300を操作している様子

せっかくここまで大きなディスプレイを搭載しているなら、「触って操作したい」と思ってしまう。

もちろん、これはMUSE 300に本来備わっていない機能を僕が勝手に期待しただけの話。

デスクを選ぶサイズとデザイン

デスクに設置するとすごく映えるんだけど、本機はあくまでもDAC/AMPの域を出ない。その役割に対して考えるとデスクで占める面積が大きい。

MUSEHIFI MUSE300をデスクに設置した様子引き

ここはデスクセットアップ目線だとちょっと無視できなかった。

理想だけの話、これが「タッチディスプレイを駆使してストリームコントローラーとしても使える!」とか、「USBハブ機能も備えてる!」ってなるとデスクに導入するハードルはかなり下がると思う。

つまり問題は単純に「デカい」ことじゃあなくて、

これだけのスペースを使うなら、DAC/AMP以外の役割も任せたくなってしまう。ってところだ。

プラグが右サイド

MUSE300は6.35mm、4.4mmどちらも差込口が本体右サイドにある。これが個人的にすごく気に入ってない。

デスクに設置することを考えるとイヤホンの長さも考慮しないといけなくて、本体右側面にプラグを固定されると、設置できる範囲がかなり限定的になる。

かといって、本体がここまで大きくてなおかつディスプレイが単なるディスプレイである以上、本体をわざわざ手前に置くメリットもない。

プラグがディスプレイ下、正面に配置されていたら置き場所の自由度はもっと高かったと思う。

時計の時間が不正確

MUSEHIFI MUSE300でスクリーンセーバー時計をチョイスしている様子

一度東京時間で設定しても、おそらくPCの電源をオフする関係でか時間が普通にずれていく。

せっかくスクリーンセーバーで時計があるのに、選べない。残念すぎる。

DACの可能性について考えさせられる1品

ということで、MUSEHiFi「MUSE 300」について見てきた。

独自OSを搭載し、5インチの大型ディスプレイによって、これまでの据え置きDACにはなかった奥行きを与えたMUSE 300。従来の「音を聴くための箱」だった据え置きDACの在り方を変えようとしている意欲を強く感じる1台だった。

単にデジタル信号をアナログに変換するだけじゃなく大型ディスプレイと独自OSによるカスタマイズ性を持たせることで、多様化するデスク環境にも寄せてきていることがすごく伝わって嬉しかったすらある。

「買って、つないで、聴く」だけではない楽しみ方をDACに持ち込んだ点は、MUSE 300ならではの面白さとチャレンジ精神だと思う。

一方で、実際にデスクへ設置して使ってみると気になるところも多い。

大きな筐体に対してできることはまだ限られているし、タッチ操作非対応のディスプレイや右側面のイヤホン端子など、デスクトップ機としてはもう一歩詰めてほしい部分もある。

だからMUSE 300を、現時点で万人におすすめ!とは言えない。

それでも、MUSE300は面白い。

「MUSE 300が示した方向性をさらに突き詰めて、ディスプレイを“表示するための画面”から“デスクを操作するための画面”へ進化させたらどうなるのか。DACにUSBハブやストリームコントローラーのような役割まで統合されたら、デスク上の機器そのものを減らせるかもしれない。」

そう考えると、これからのデスクトップDACにどんな可能性があるのかを考えさせてくれる1台だった。

次作機にはかなり期待したい。

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