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今回はドングルDAC比較ということで、iBassoのDC-EliteとおなじくiBassoのDC07Proについて比較レビューしていきたいと思う。
界隈ではバケモンと呼ばれるDC-Elite。
対してDC07Proは販売価格3万円台でDC-Eliteには到底及ばん性能やろうと思いがちなんだけど、僕はそうは思わない。
7月に発売されたDC07Proも負けず劣らずの実力を持ったバケモノだと個人的には思う。
ということで、‟最強 対 最高”の比較をしていきながらその理由について解説していきたい。
ネオジャパンデスクセットアッパー
翁(おきな)
オッキーナ
ガジェットが好きな36歳/ ブロガー歴7年/ レビュー数330品以上(うちイヤホン180種類以上)/ Xフォロワー数5,100人突破/ YouTubeチャンネル開設(奮闘中…)/ 【ネオジャパンデスクセットアッパー】と称して日本みのある独自のデスク環境を構築中/ 普段はサラリーマン/ 4児の父/ “みんなといっしょ”が苦手なタイプ
この記事は、メーカーからの提供品を基に敬意を持って忖度なし正直に実機比較レビューしていきます。
DC-EliteとDC07Pro両者の特徴はこういったかんじ。
DC-EliteとDC07Pro両者のスペックはこんなかんじ。
DC-Elite | DC07Pro | |
---|---|---|
DACチップ | ROHM BD34301EKV | Cirrus Logic CS43131×4 |
対応サンプリングレート | PCM:最大768kHz/32bit DSD:ネイティブDSD512 | PCM:最大768kHz/32bit DSD:ネイティブDSD512 |
周波数特性 | 3.5mm時:10Hz-50kHz 4.4mm時:10hz-50kHz | 3.5mm時:10Hz-75kHz 4.4mm時:10Hz-80kHz |
最大出力 | 4.4mm時: 4.6Vrms 3.5mm時: 2.28Vrms | 4.4mm時: 2.8Vrms(Low Gain) 3.5Vrms(Medium Gain) 4Vrms(High Gain) 3.5mm時: 1.4Vrms(Low Gain) 1.73Vrms(Medium Gain) 2Vrms(High Gain) |
ダイナミックレンジ | 4.4mm時:118dB 3.5mm時:115dB | 4.4mm時:134dB 3.5mm時:129dB |
サイズ | ヨコ64mmxタテ35mmx厚さ14.5mm | ヨコ59mm×タテ23.5mm×厚さ12.5mm |
重量 | 60.5g | 23g |
Gain設定 | なし | 3段階(Low / Medium / High) |
デジタルフィルター | なし | 5種類 |
DC-Eliteに搭載されているDACチップセットROHM BD34301EKVは据え置きDACに搭載されるレベルのもの。
DC07ProにはDC03ProやDC04Proではデュアル構成だったCirrus Logic社製チップセットCS43131がクアッドで搭載されている。
Gain設定についてはDC07Proは3段階で切り替えが可能。
DC-EliteにはGain設定が搭載されていない。
また、パッケージについて。
DC-Eliteは値段相応の高級感のある質感に対してDC07Proはやや簡素。
DC-EliteもDC07ProもOTGケーブルはType-C to Type-CとType-C to Lightningを付属していてAndroidスマホだけでなくiPhoneiOSでも接続できる。
DC-Eliteには専用のレザーケースが付属しているのに対してDC07Proには専用のケースは付属していないので、几帳面な人はDC07Proを買うときには要注意だ。
肝心のDC-EliteとDC07Proの音質のちがいについて。
今回比較するにあたって使用した環境はこちら
イヤホン:TRI I3 MK3(標準ケーブル4.4mm)、Kiwi Ears KE4(標準ケーブル3.5mm)、AFUL Performer7
DC-Elite:音量18/24
DC07Pro:音量60/100 Gain High
【視聴楽曲】
ボヘミアンラプソディー/QueenHello/AdellHotel Calfornia/イーグルスTake Five/The Dave Burbeck QuartetHawaii/Lil LocaOne Last Kiss/宇多田ヒカル
実際に聴き比べをしてみた感想をまとめたリストは以下のとおり
- Eliteは全体的なサウンドステージが広く、DC07Proはやや余韻を効かせてサウンドステージを広げている
- DC07Proに比べてEliteのほうが情報量が多い
- 全体的な解像感は両者接戦
- 低音の重厚感や迫力、キック力はEliteのほうが強い
- 高音の伸び、滑らかさはEliteのほうが耳当たりがいい
- DC07Proのほうが楽器音よりボーカルがやや主張ぎみ
総合しておなじ土俵のもとで検証すると顕著にDC-Eliteの戦闘力の高さがめだつ。その差は評判どおり圧倒的。
特に目立ったのは音場の広さとレイヤー感。
小手先の拡張ではなく、しっかりと楽曲の情報量を底上げしたサウンドステージ拡張で、低音中音のパワーもグッと増幅していてさながらコンサートを生で聴いているような迫力を味わうことができる。
レイヤー感については、各楽器音の層がミルフィーユのように鮮明で歯ごたえを出していて、リアリティさが半端ではないのがすぐわかる。
楽曲全体の奥行だの情報量も増していて思わず感情に揺さぶりをかけてくる印象だ。
DC-Eliteの音質はドングルDAC音質×スマホという曖昧でもなんとなく予想される領域を完全に覆すクオリティにまで引き上げてくれるドングルDACとなっている。
対してDC07Proでも単体で聴けば全く申し分ないレベルではある。
iBassoらしい硬めで粒立ちのいい解像感に色付けの少ないニュートラルなサウンド。
楽器音よりもボーカルにフォーカスしていて、空間表現力は高い。
楽器音はやや淡泊で、いい意味であっさりとしている。
各音も混雑することなく調和がとれていて、清らかさが目立つ印象だ。
低音は強化されてはいるけどDC-Eliteと比べると控えめ。だけど中音に厚みがあり高音は煌びやか。カフェサウンドやジャズなどと相性がいいように思える。
とにかくDC04Proとは全く別次元のクオリティだ。
ただ、そのあとにDC-Eliteを聴いてしまうとダメ。
DC-Eliteは低音の重厚感やキック力、勢い、迫力の面ですごく強力。
一方でDC07Proはあっさりとしていて淡泊っぽさはあるものの、いい意味で聴きやすくまとまっている印象だ。
サイズ感はこういったかんじ。
DC07Proが通常のよくみるドングルDACらしいサイズで、DC-Eliteは比べると非常に大きい。
DC-Eliteはチタン素材ボディにダイヤル設計でアナログ臭のある堅牢さと重厚感があるデザインとなっている。
対してDC07Proはアルミニウム合金製のボディにDC-Eliteよりは小さめのダイヤル、そしてディスプレイが特徴的なデザイン。
0.96インチと小さめながらも現在の音量とかGain設定とかも視認できるっていうのがDC07Proのいいところ。
DC-Eliteは現在の音量がわからないから、さあイヤホンで音楽聴こうと思っても音が爆音で流れないか一瞬躊躇してしまうからね。スムーズとはいかない。
それぞれに搭載されたダイヤルは音量調節につかう。
DC-Eliteは24段階+PCMボリュームコントロール機能で3段階の追加音量微調整が可能。(19では小さいけど20だと大きいというときにボタンプッシュごとに-1dB,-2dB,-3dBと3段階ボリュームを落とすことができる機能)
対してDC07Proは1~100の段階調節が可能となっている。
重量は、DC-Eliteが約60gなのに対してDC07Proは23gと軽量。というかDC-EliteがドングルDACとしては重たいっていうのが正しい表現になるかな。
両者とも3.5mm、4.4mmに対応している。
肝心のドングルDACとしての使用感について。
ドングルDACとしては重たいDC-Elite
正直、DC-EliteはドングルDACとしては大きいし重たい。
ポケットからぶら下げるとやっぱり60gは存在感がでるし、ぶらぶらする。
DC07Proもぶらぶらはするけど、DC-Eliteほどずっしりとはしていないから違和感は感じにくい。
とはいえ40g程度の差といえばそのとおりなので、そのあたりをどう考えるか次第だとは思う。
音量調節はDC-Eliteクセあり
つぎに音量調節の部分について。
DC-Eliteの音量調節はクセがある。
ステップアッテネーターの仕様上、どうしても音量調節時に一瞬音が途切れるからそこを許せるかどうか。
その点DC07Proなら音量調節もストレートに100段階調節できるからノンストレスではある。
バッテリー消費量はDC07Proに軍配
さいごにバッテリーの減り具合も考慮すべき。
DC-Eliteはとにかくスマホのバッテリーを食う。
実際に使ってみたところ2~3分で1%=1曲1%減の勢いでスマホのバッテリーを減らしていく。
対してDC07Proは省電力設計となっていることもあって2曲1%減といった具合。
いずれにしてもドングルDACを使うならモバイルバッテリーもいっしょに買っておいて損はないんだけど、DC-Eliteをつかうのであればモバイルバッテリーは必須アイテムだと言える。
デメリットな部分は多いながらも、DC-Eliteの音質はほんとうにバケモノ。まさに“最強”とはこのこと。
ドングルDACとしては大きいDC-Eliteけど、小回りのきく据え置きDACとして活用すれば据え置きDACレベルのDACチップセットを搭載したDC-Eliteならデメリットを払拭できる。
狭いデスク環境をセットアップしているユーザーには利点になるだろう。
いっぽうでDC07Proは、DC-Eliteほどの資金は出せないけど持ち歩きやすさと高音質さとを求める人にはいい落としどころだなと思う。
DC-Eliteと比較してしまったがために淡泊な音質に感じがちだけど、それでも実力は3万円としてはかなり高い。DC04Proとの比較では圧倒的に情報量の次元が違うのはたしかだ。
おおきな欠点がなく全体的に高水準のバランス型、まさしく“最高”
いずれにしても買ってしまえば満足度は非常に高い完成度の製品なので、後悔のないようしっかり吟味してほしい。