KiiBOOM「Evoke」レビュー。1DD+2BA搭載で自然な高音質を楽しめる美しいレジンシェルIEM

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この記事では、KiiBOOMから提供していただいたインイヤーモニター「Evoke」について、デザインや付属品、音質など今IEMにドはまり中のガジェットブロガー翁が実機レビューしていく。

当ブログの運営者、ガジェット大好き翁(おきな)@okinalogです。よろしくね。

新興ブランドKiiBOOMの第2弾インイヤーモニター「Evoke」

LCP(液晶ポリマー)採用の10mmダイナミックドライバーと中・高音域用2種類のバランスドアーマーチュアドライバーを搭載した1DD+2BAのハイブリッド仕様。

僕としてはTRIPOWINのRhombus以来のハイブリッドIEMだったんだけど、Evokeの音質はRhombusとはまったく異なる質感ですごく聴きやすいうえに解像度もたかく絶妙なバランスだった。

おそらく現時点で既に2023年のベスト5にランクインするほどの高音質・ビルドデザインを誇るプレミアムイヤホンと言える。

さあ、はじめようか。

この記事の著者

ネオジャパンデスクセットアッパー

翁(おきな)

オッキーナ

プロフィール

ガジェットが好きな36歳/ ブロガー歴7年/ レビュー数330品以上(うちイヤホン180種類以上)/ Xフォロワー数5,100人突破/ YouTubeチャンネル開設(奮闘中…)/ 【ネオジャパンデスクセットアッパー】と称して日本みのある独自のデスク環境を構築中/ 普段はサラリーマン/ 4児の父/ “みんなといっしょ”が苦手なタイプ

※有線イヤホンを使ってみたいなと興味があるひとは、まずは「有線イヤホン素人の僕が15本以上触れてみて分かった【初めての1本】におすすめな5選」を参考にしてみてください。

KiiBOOM「Evoke」概要と特徴

今回レビューするのは、新興ブランドKiiBOOM(キーブーム)のインイヤーモニター「Evoke(イヴォーク)」

スタジオモニターとしてチューニングされた有線イヤホンだ。

KiiBOOMというと、前回レビューした「Allure」とおなじブランド。

メカニカルキーボードやイヤホンなど、マニアが集まってそれぞれのオリジナル製品を開発・販売するできたてのブランドで、「Evoke」はその第2弾モデル。

販売価格は公式サイト表記で22,058円~25,973円。(シェルフェイスのデザインで価格がそれぞれ異なる)

  • 低音用10mmLCP採用ダイナミックドライバー搭載
  • Knowles社製中音・高音用バランスドアーマーチュアドライバー搭載
  • 医療グレードの樹脂素材をつかった3Dプリントシェル
  • 0.78mm2pinリケーブル仕様

Evokeは、低音用と中・高音用でそれぞれドライバーの役割を分担したハイブリッドモデル。

低音用10mmのLCP(液晶ポリマー)振動板はサブウーファーとして、深みのあるパワフルな低音を実現するのに一躍買っているとのこと。

そんなDDの低音と調和するかたちでアーマチュアドライバーが中・高音域をフラットでニュートラルなサウンドを表現。スタジオモニターとして実用的かつ現実的な設計となっている。

ドライバーLCP(液晶ポリマー)採用10mmダイナミックドライバー
Knowles社製バランスドアーマーチュアドライバー×2基
インピーダンス15Ω
感度108dB
周波数応答20Hz-44KHz
KiiBOOM Evokeスペック

パッケージ

ケーブル

KiiBOOM Evokeのケーブルは0.78mm2pinの交換可能なリケーブル仕様で、素材には4芯の無酸素銅が採用されている。

4芯だから標準的な仕様。

無酸素のエンクロージャーに織り込まれていることでワイヤーの腐食を最小限に抑え、時間がたっても音楽の透明感を保つことができるようになっているとのこと。

外観

こちらがKiiBOOM Evokeのシェル外観。

金箔をあしらったレジンがフェイスプレートに全面に使われていて自然光に反射して鈍い光を放っているのが神秘的だ。

あれ、公式サイトに掲載してある宣材写真と比べると大幅に違うような…。
上部には2mmほどのベント(空気孔)が用意されている

2pinコネクタ部分も切り替えなくレジンの下に埋まっているので耐久性の面でも申し分さそうだ。

全面切り替えなくつるっとしているから汚れを拭くなどのメンテもしやすい。

厚みは、今までレビューしてきたIEMのなかではいちばん分厚くて、14mm~15mm。

でも耳への装着感はかなりいい。

レジンデザインのシェルというと、以前5,000円台のKiwi Ears「Cadenza」をレビューしたけど、あれとはまた違った雰囲気だ。

(左)KiiBOOM Evoke(右)Kiwi Ears Cadenza
(左)KiiBOOM Evoke(右)Kiwi Ears Cadenza

ただ、装着感は似ている。金属シェルに比べてひんやり具合が少なく冬でも難なく装着することができる。

全面樹脂素材だから金属シェルにくらべて圧倒的にひんやり感が少ない

フィット感が高いからパッシブノイズキャンセリング具合も良好

KiiBOOM Evokeで実際に音楽を聴いてみた

視聴環境

プレーヤー:Pixel7

DAC:iBasso DC03Pro

イヤーピース:SpinFit W1

ストリーミング:Amazon Music Unlimited

Evokeの音質は、とにかく聴きやすいが第一印象のバランスがとれた明瞭なものだった。

これまで個人的にRAPTGO×HBB HOOK-Xの右にでるものは出てこなかったんだけど、Evokeはあっさりと僕を満足といえるレベルまでもっていった。なんなら装着感ではEvokeに軍配があがるからこっちのほうがトータル上かも。

明瞭感・各音域のバランス・定位感・分離感・抜け感すべてにおいて不満点のない完成度。

スタジオモニターとしてチューニングしているんだろうけど、ふつうにリスニングイヤホンとして最高にいい。

あといちばん僕が気に入ったポイントが、音の情報量が常に一定であること。

たとえば、ボーカルの声が発せられているときでもバックの楽器音が弱まることなく常に一定のパワーで流れ込んでくる。5,000円~1万円台のイヤホンだと、ボーカルの声が流れるとき背景の楽器音が変に裏に隠れてしまって違和感を感じることが多かった。Evokeにはそれがない。

3基のドライバーが物理的に音を役割分担しているからだろうか。

とにかく、この自然な情報量のおかげで耳で生で音楽を実際に聴いている感覚になる。

心地いい弱ドンシャリ。万人受けしそうな温かみのあるサウンド

KiiBOOM「Evoke」のサウンド
  • 低音:弱ドン。解像度がたかくドラムからベースまでハリがあってちょうどいい力加減
  • 中音:高音より前に出ていて粒のこまかいシャープで心地いい聴こえ具合
  • 高音:いい意味で控えめ。下手な煌びやかさはなく刺さる感じは皆無。

Evokeの弱ドンシャリ感はよくある中華イヤホンのソレよりかは強弱控えめで、低音は力押しするだけじゃなく解像度も申し分ない。

低音ガンガンが苦手なひとでもここまで高解像度な低音ならまた低音に対しての印象をひっくり返されるかもしれない。

なめらかで柔らかく温かい音を出すからリスニングとして長時間の使用に最適。

どの楽曲でも満足度のたかい音をたのしめるけど、個人的にEvokeの魅力を最大限に体感できたのは音のレイヤー層が厚いさまざまな音が混ざった楽曲。

たとえば、GLASS ANIMALSの『Heat Waves』とかその1つ。

神秘的なバックコーラスに力強い低音、ボーカルの中音とコーラスの裏声による高音、そのバランスが絶妙に疲れたカラダに染み渡る。

1日に1度は聴く僕イチオシのJustin Timberlakeの『Mirrors』も過去イチの高音質で楽しむことができた。

パーカッションの弾ける空気感と、神妙なバスドラムの重低音、Justinのシャープな高音の裏声がこれまた秀逸。

自然すぎて気づきにくいけどよく聞けばわかる優れた定位感

Evokeの心地よさは、一見すごみを理解しにくい温かみのある統一された音質をしっかりとした定位感で再現しているからだと個人的には思う。

たとえば、男性ボーカルと女性ボーカルによるデュエットなんかを聴くとすごくわかる。

低音用ダイナミックドライバーと高音用バランスドアーマーチュアドライバーが別で音を奏でるからなのか、男性ボーカルが中央手前から聞こえるのに対して女性ボーカルは左右1歩後方から聞こえる。

音場も広めで、レジンという材質の影響だろうか金属シェルにくらべて反響がほどよく開放型かのようにスーッとへんな余韻なく抜けていく。

実際にスタジオでライブを聴いているかのような自然な立体感を体験することができる。

KiiBOOM Evokeとほかのイヤホンとの比較

KiiBOOM Evokeとほかのイヤホンとの比較
(左上)ゼンハイザーIE100Pro、(右上)RAPTGO HBB HOOK-X、(右下)KiiBOOM Allure、(左下)KiiBOOM Evoke

KiiBOOMのEvokeを定番のゼンハイザーIE100 Pro、平面駆動&開放型の最高傑作RAPTGO×HBB HOOK-X、そして同社KiiBOOMのAllureと比較してみた。

ゼンハイザー「IE100 Pro」との比較

  • 低音の重厚感はIE100 Proのほうが1段強め。解像度は互角
  • ボーカルの主張具合はEvokeのほうが強め。IE100 Proは楽器音の主張のほうがつよい
  • 装着感はシェルの小さいIE100 Proのほうが耳へのおさまりがいい
  • ビルドデザインは圧倒的にEvokeに軍配
翁(おきな)
翁(おきな)

IE100 Proをよりリスニング用途向けに聴きやすくまとまりよくアップグレードしたのがEvokeってかんじがする。そう、思った。

RAPTGO×HBB「HOOK-X」との比較

  • 低音の重厚感は互角。ハリとキレはEvokeのほうがつよい
  • ボーカルと楽器音との分離感はHBB HOOK-Xのほうが距離感があって楽器音は若干遠すぎる気がする
  • 全体的な力強さはEvokeのほうがパワフル
  • ボーカルの主張具合はEvokeのほうがつよめ
翁(おきな)
翁(おきな)

楽曲単位ではEvokeのほうがまとまりがよくて心地いいけど、楽器音の分離感がたかめのHBB HOOK-Xのほうが長時間使用時の疲労感は低いのかも。

KiiBOOM「Allure」との比較

  • 低音の力強さや重厚感はEvokeのほうが2弾上
  • 楽器音の力量はEvokeのほうが高めで、Allureのほうがもうすこし温かみのある音質
  • 全体的な音の情報量は圧倒的にEvokeのほうが多い
翁(おきな)
翁(おきな)

やっぱり金額面でみてもEvokeのほうが順当に品質がたかいよね

KiiBOOM Evokeはこんなひとにおすすめ

  • あまり分離感の激しくないまとまりのある音を求めるひと
  • 低音や高音が尖っているよりなめらかなものを求めるひと
  • ひとと被らないプレミアム感のあるデザインのIEMがほしいひと
  • 金属製シェルのひんやり感がニガテなひと

いちばんはフェイスプレートのレジンデザインが気に入ったかどうかだと思う。

正直、音質に関してはプロのスタジオモニター向けIEMを求めていない限りこのなめらかで柔らかい音を嫌いなひとはいないだろうから、懸念する必要はない。

強いて言うなら日本Amazonではまだ実売されていないところ。現状では、KiiBOOM公式かAliExpressからの輸入購入しか販路がない。

AliExpress購入、僕はハズレを引いたことはないけど、稀に届くまでに箱がずたずたになるって話もよく聞くから、金額を考えると日本での販売を待つほうが無難かもしれない。

KiiBOOM Evokeレビューまとめ

ということで、今回は新興ブランドKiiBOOMの第2弾IEM、「Evoke」について実機レビューしてきた。

絶妙なバランスのチューニングと低価格モデルでは到底味わえない一定量のパワフルな音の情報量と低音の解像度。

1DD+2BAの魅力にすっかりハマってしまったな…。

日本Amazonでもぜひ早急に販売を開始してほしいものだ。

メリット
  1. 鈍く美しく光る金箔をあしらったレジンシェル
  2. 解像度たかめのテクニカルな低音
  3. 絶妙なバランスのとれた聴きやすいサウンド
デメリット
  1. シェルのデザインは公式の宣材写真とは異なる
  2. 日本での販売はまだ

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