この記事では、Easy earphonesより提供していただいたKB EARのIEM「青龍(Qinglong)」について、どんな製品なのか音質やデザインなど翁が実機レビューしていく。

当ブログの運営者、ガジェット大好き翁(おきな)@okinalogです。よろしくね。
クローム処理がされた鏡のようなシェルが特徴の10mmのPU+PEEK複合振動板を搭載したインイヤーモニター。
KBEAR「青龍(Qinglong)」

このIEMはね、ちょっといままでレビューしたイヤホンとは違った味わいの音質を放つタイプだったね。
クセがあるわけではないし、音も温かみがあって角もかるくて聴きやすいんだけど、ちょっと変わってた。

ということで、10,000円するこの高級感のあるターミネーター2のようなイヤモニについて実機レビューしていく。
さあ、はじめようか。

ジャパニーズガジェットブロガー
翁
おきな
ガジェットが大好きな34歳/ ブロガー歴5年/ レビュー数150品以上/ サラリーマン/ 4児の父/ “みんなといっしょ”が苦手なタイプ

今回レビューするのは、AmazonにてIEMを中心にリケーブルやイヤーピースを販売する中華オーディオ専門店YinyooのひとつKBEAR(ケービーイヤー)というブランドの「青龍(Qinglong/チンロン)」
KB EARというブランド自体は、中国のECサイト「AliExpress」やAmazonで下は2,000円~上は15,000円ほどの低価格帯IEMを多く販売しているようで、なかでも今回の青龍は今売り出し中の新商品らしい。
販売価格は、10,490円
そんなKBEARの「青龍」は、10mmのPU+PEEK二重複合振動板を採用したシングルダイナミックドライバーを搭載。0.78mm2pinリケーブル仕様で交換が可能だ。
PU+PEEK振動板というと、以前Tribitの完全ワイヤレスイヤホン「FlyBuds C1」が採用していたものとおなじだ。
あれは、かなり音がよかった記憶があるので青龍も同様な高音質が期待できる。


また、シェルは航空グレードのアルミニウム合金を採用。
筐体は鏡面クロムメッキ仕上げで上質感を演出している。


“青龍”なんて、空想上の生物の名前を付けるなんてけっこう自信満々なんだろうなと思っていたけど、海外の口コミに“サウンドシグネチャ周波数曲線グラフのかたちにちなんでる”っていうのを見て納得した。

ドライバー | 10mmハイレゾ二重複合振動板 |
インピーダンス | 32Ω |
感度 | 108dB@1KHz |
再生周波数帯域 | 20-40KHz |
筐体素材 | アルミニウム合金 |
ケーブル | 4芯無酸素銅銀メッキ線 |
コネクター | リケーブル可能0.78mm 2Pin金メッキ |
プラグ | 3.5金メッキストレート型 |
マイク | × |
パッケージ

付属品は、青龍本体にケーブル、イヤーピースが2種類とメンテナンス用ブラシとクロス(わかってるね)
そして、合皮素材のハードケース。



合皮素材のハードケースは、マグネットでしっかり閉まるタイプ。
毛羽のある内張りが貼られていて青龍をしまっておいても傷がつかないよう配慮されている。


イヤーピースは、平らなタイプとよくみる楕円形の2種類が付属している。
ケーブル
KBEAR 青龍は0.78mm2pinの4芯無酸素銅の銀メッキ線ケーブルを採用している。
僕としてはRAPTGO HBB HOOK-XやTRIPOWIN Rhombus以来おなじみとなったもしものときに交換可能なリケーブル仕様だ。

手触りというか、質感が若干安っぽい印象。


プラグは3.5mmのストレートタイプのイヤホンジャックを採用。

外観

こちらがKBEAR 青龍(Qinglong)のシェル。
鏡ばりにキレイに磨かれていて、モダンで美しい。その反面、指紋が目立つやろうな。
筐体は、5軸のCNCプロセスで加工された航空機グレードのアルミ合金素材。7系統と公言されているのでおそらく超高強度の素材だろう。

まあ、理屈はともかく鏡のようにピカピカのシンプルなデザインだ。嫌いじゃあない。


シェルの厚みは11mmとやや厚めで、ステムは5.5mm径と標準的な大きさ。




プレーヤー:Pixel7
DAC:iBasso DC03Pro
イヤーピース:純正
ストリーミング:Amazon Music Unlimited
KBEAR 青龍(Qinglong)の音質は、全体的に滑らかでまろやかな温かみが目立つ傾向にあった。
この印象は原音に忠実だと定評のゼンハイザー「IE100 Pro」と比較してのものだ。

そして、以前レビューしたTRIPOWIN「Rhombus」とは真逆のサウンドとなっている。
低音と高音に力をいれたV字のチューニングで、馴染みやすいドンシャリサウンドだ。
定位も音像もしっかりと表現できていて、Walker Hayesの『Fancy Like』とか、かなり心地よく聴くことができた。
バックコーラスの分離感がほどよく感じられて、透明感と相まってノれる。
ちなみに、ここからが少し大事なポイントだけど、KBEAR の青龍(Qinglong)はスマホ直挿しとDAC経由では音質が顕著に異なるIEMだった。
スマホ直挿しのときは、まさに中華イヤホンといったかんじの終始迫力のある低音主導のサウンド。
直正、最近の5,000円~1万円台の完全ワイヤレスイヤホンの音質とそんなに代わらない。

ただ、DAC経由だと低音の迫力は落として解像度に振った音質にスパッと変化。真価が発揮されたように、全体のバランスがすごくよくなる。
つまり、青龍(Qinglong)は、DACによるパワーの引き上げが必要なIEMということになる。
僕が現在唯一所持しているiBassoのDC03Proでもしっかりそう思えたから、きちっと青龍を楽しみたいならDACが必要とみてまず間違いないだろう。
低音
KBEAR 青龍(Qinglong)の最大の魅力は低音。
重ための図太いパンチの利いた低音を味わうことができる。
ただ、解像度はたかく感じなかったので主役とはいえない。
あたたかみもあって馴染みやすいから曲全体を支える広い天板的な存在だ。
(音量をあげていくと、だんだんと低音の解像度が増していった不思議な現象に遭遇した。青龍(Qinglong)は、音量があがるにつれて低音が主役へと変身するIEMだ)
中音
KBEAR 青龍(Qinglong)の中音は、控えめすぎないクリアさ加減。
ボーカルの声はこの音域に位置するけど、しっかり前に出て主張できている。
Ava Maxの『Weapons』は、シャープさと分離感と中音域の透明感をもっとも味わえた楽曲だった。

僕Ava Maxの声と曲のパワフルさ好き。
高音
シェルのビジュアル的に煌びやかな高音を想像しがちだけど、意外にも高音はウォーマーな音質だった。
やさしく角はまるくて聴き疲れない音だ。伸びがあって、ほどよい余韻がけっこう個人的に好きだ。
いっぽうでDACを経由しても情報量がちょーっと少ないかなと感じる曲がちらほら見受けられたのが気になったところ。
まあでも、刺さるような高音ではないから全体をとおしてノンストレスで音を楽しめるIEMだ。
リケーブル交換で音質が大幅に変化
ちなみに、青龍(Qinglong)の全体の解像度とパワー具合はリケーブルの交換で意外にも味が変化したからここに記載しておく。

レビュー中、興味本位でリケーブルをHZsoundのHeat mirror proのものに交換してみたところ、高音に煌びやかさがでて低音と中音の解像度がよりこまかくシャープになった。
言うならHeat mirror proの低音がより強力になった版みたいにね。
なんならデフォルトのリケーブルよりいい音を出すといってもいい。

この僕の感想が正しいものなのか、だれか教えてほしい。

KBEAR 青龍(Qinglong)は正直、音質に対しての価格がちょっと釣り合ってない気がする。
たしかに、温かみがあって初心者的には馴染みやすいソフトな音質だけど、これで1万円ならAnkerとかEarFunの最新型の完全ワイヤレスイヤホンのほうが心地いい音を味わえる。
さっきちらっと出したHZsoundのHeart mirror proもほぼ同価格帯だけど、素人目でみても圧倒的にあっちのほうが出来がいい。
ただ、さっきも書いたとおり、リケーブルをすると音質はガラッと変わるので、既にお気に入りのイヤモニを所持しているひとならリケーブル交換で楽しみ甲斐はあるかもしれない。(どんな需要だよ)
あと、過去レビューしたIEMでTRIPOWINの「Rhombus」やTINHIFIの「T4 Plus」とは相対的な存在。だからRhombusを視聴してあのくっきりしたキレのいいサウンドが苦手だったひとには推したい。

ということで、今回はKBEARのインイヤーモニター「青龍(Qinglong)」についてレビューしてきた。
PU+PEEK複合振動板を採用した1DDで、鏡のようなモダンデザインのイヤモニ。
図太い低音と独特の温かみのあるサウンドを特徴としたこのイヤホンは、DACを嚙ませたりリケーブルすることで音質がコロコロ変化することを考えると、意外に長期的に使用していくと良さが実感できるモデルなのかもしれない。
- モダンで上質な鏡面クロムメッキ仕上げの筐体がキレイ
- 図太くパンチのある低音が味わえる
- 温かみのあるまろやかなサウンドを味わえる
- 真価を味わうにはDACによるパワー供給が必要
- 低音の解像度を実感するには音量を大きくする必要がある
- 高音はすこし情報量に欠ける