TANCHJIM「4U」レビュー。1DD歪みの少ない正統派サウンドが楽しめるチューニングスイッチ搭載機

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HifiGoさんから中国TANCHJIM(タンチジム)の新型IEM「4U」を提供してもらったので実機レビューしていく。

僕としては初となるTANCHJIM製イヤホン。

音質切替チューニングスイッチなるギミックを搭載しているのも魅力的要素のひとつ。

4Uの特徴
  • 新世代DMT4ダイナミックドライバーを搭載
  • デュアルキャビティ採用
  • 4方向調整回路フィルターシステム搭載
  • ハイパワー磁気設計採用
この記事の著者

ネオジャパンデスクセットアッパー

翁(おきな)

オッキーナ

プロフィール

ガジェットが好きな36歳/ ブロガー歴7年/ レビュー数330品以上(うちイヤホン180種類以上)/ Xフォロワー数5,100人突破/ YouTubeチャンネル開設(奮闘中…)/ 【ネオジャパンデスクセットアッパー】と称して日本みのある独自のデスク環境を構築中/ 普段はサラリーマン/ 4児の父/ “みんなといっしょ”が苦手なタイプ

この記事は、メーカーからの提供品を基に実機レビューしていきます。

※有線イヤホンを使ってみたいなと興味があるひとは、まずは「有線イヤホン素人の僕が15本以上触れてみて分かった【初めての1本】におすすめな5選」を参考にしてみてください。

TANCHJIM「4U」パッケージ付属品とデザイン

スペック

周波数応答:8Hz-48KHz

インピーダンス:32Ω

感度:122dB

ケーブル:0.78mm2pin 3.5mmプラグ

パッケージ

付属品は、本体のほかにイヤーピース2種3サイズ、ベルベット調の巾着、マイナスドライバー系のピンと冊子だ。

デザインとビルドクオリティ

4Uのシェルはよくみる人間工学に基づいた丸っこい形状とはちがい、やや角ばったレトロなかたちをしている。

横長で清潔感のあるメタルデザインだ。

ビジュアルはHZsoundのHeart mirror proやJIALAIのCARATのようで好きなんだけど、ノズルが短いのが個人的にデメリットとなった。これについては後述する。

意外と9gと重量感がある
ケーブルは一般的な中華イヤホンのものよりもひとまわり細い

TANCHJIM「4U」の実際の使用感

視聴環境

プレーヤー:Pixel8Pro(DAC経由)

DAC:iBasso DC03pro、Kiwi ears Allegro

イヤーピース:SpinFit OMNIAZLA SednaEarfitMAX

ストリーミング:Amazon Music Unlimited (URTLA HD)

音質

TANCHJIM「4U」の音質は素晴らしく、特に低音~中音域にかけて1万円としては豊かでクリアーなサウンドが楽しめる。

音の傾向まとめは以下のとおり。

音場
狭い
広い
質感
寒色系サウンド
暖色系サウンド
滑らかさ
シャープ
マイルド
傾向
フラット
V字
反応
遅い
速い

低音

4Uの低音は、そこまで強力というわけではないけど必要な力強さは持ってるといったかんじ。

と、いいたいところだけど4Uの低音は安価中華イヤホンなどのような“力押し”・“ブーミーがちな低音”ではなく、透明感のある上質な仕上がり。

ヤングブラッドの『Abyss』なんかダークさ際立つ楽曲だけど、サブベースがしっかり強調されている。反応も素早くタイトでやや寒色寄り。

ポップスでもこの低音クオリティはしっかり活かされていて、たとえばJLSの『One Shot』なんか聴いても力強さを体感できた。

中音

中音は、線が細く透明度がたかい印象。

膨張せずキレも良く解像感も申し分ない。

Nulbarichの『Sweet and Sour』を聴くと、よくわかる。

ボーカルが驚くほどニュートラルで暖かみがあってリアルなウェット感。

すっきりとまとまっていて気持ちいい。

ただ、4Uは男性ボーカルより女性ボーカルとのほうが相性がいいみたい。

BIA&J.I.Dの『Lights Out』を聴いてみてほしい。軽やかでシャープで抵抗のない中高音が最高に気持ちいい。

楽器の分離感も申し分なくて、音の豊かさと空間の広がりに無意識にリズミカルに体を揺らしながらビールを美味しく飲めそうなクオリティ(どんな)

高音

4Uの高音はディテールが細かくチューニングされていて、明瞭かつナチュラル。

Mrs.GREEN APPLEの『コロンブス』を聴くと、微細な高周波音までしっかり出力されているのが聞き取れて華やかさを感じられる。

ピエゾドライバー搭載機とは比較にはならないけれど、クセがなく聴きやすい質感だ。

ギミックについて

さいごに4U独自のギミック、低音チューニングスイッチでの違いチェック。

矢印の部分を付属のドライバーで回転させることで低音の出力具合を変更することができる。

ステム側に向いた状態が初期状態で、いちばん低音が出力される状態になっている。

  • atmosphere:低音最上(中央向き)
  • monitoring:低音最弱(下向き)
  • natural:バランス(外向き)
  • pop:低音弱(上向き)

の全4段階に調節することができる。

個人的にはpopがいちばんとっつきやすく、atmosphereは低音が強調されはするものの全体のバランスを破綻させているようにも感じた。

音楽以外の、咀嚼音や言語学習、リーディングアプリなどを視聴する場合には着色のないmonitoringがよさそうだ。

いずれにしても、音質面でしっかりとしていてなおかつ好みに合わせてモードを切り替えられるギミックは、活用機会を増やせるので面白い。

装着感と快適性

音質面ではかなり好印象だった4Uだけど、どうしても装着感が気に入らない。

ノズルが短く、その割に本体部分が横長のためイヤホンを耳の奥まで押し込む必要があり、そうすると外耳にシェルが触れてしまう。

結果、長時間装着していると痛みを感じるようになった。これはイヤホンとしては致命的…。

縦長のイヤーピースを探す必要があるのかもしれない。

TANCHJIM「4U」とほかのイヤホンとの比較

CCA Rhapsodyとの比較

ぜんたいのバランスではRhapsodyのほうが聴きやすく透明感がある。個人的には解像感と低音は4Uのほうが良質な気がするけど、中音の厚みはRhapsodyのほうがやや強い印象。

あとは筐体のサイズが4UよりRhapsodyのほうがひとまわり大きいので、耳が小さいひとには4Uのほうが装着しやすそう。

両者チューニングスイッチを搭載しているだけに選択はむずかしい。

CCA「Rhapsody」レビュー。4BA+2DDアンダー1万円なら絶対買った方がいいってくらい明瞭なサウンド

AFUL Explorerとの比較

いちばんの違いは低音の厚みと情報量。低音を調整できる4Uに軍配があがる。

ただ、中高音~高音についてはExplorerのほうが圧倒的によくできている。雑味のないクリアーさとシャープさ、抜けのよさは4Uを圧倒している。

低音を求めるなら4Uだけど、とくに低音の厚みにこだわりがないのであれば僕は断然Explorerをおすすめする。

AFUL「Explorer」レビュー。1DD+2BA構成3D空気圧バランス技術搭載全力でひとにおすすめしたいイヤホン

TANCHJIM「4U」の総評とおすすめポイントまとめ

TANCHJIM 4U
低音
 (4)
中音
 (3.5)
高音
 (3.5)
臨場感
 (3.5)
解像度
 (4)
デザイン性
 (3.5)
総合評価
 (3.5)

メリットデメリット

メリット
デメリット
  • ジュエルのような高級感のあるケーブルが付属している
  • ディテールが細かい高音域
  • クセのない解像感のあるサウンドバランス
  • 低音を4段階調節することができるギミックを備えている
  • 低音マシマシの状態(atmosphere)だと全体のバランスがやや破綻気味になる
  • ノズルが短くシェルが角ばっているから、イヤーピース選びが難しい

TANCHJIM「4U」はこんなひとにおすすめ

  • インイヤーモニターのような原音に忠実な、でもリスニング用途でも優れたイヤホンを探しているひと
  • 低音の主張具合をこまめに変更したいひと
  • 面白みのあるギミックを搭載したイヤホンを探しているひと

ぜんたいてきにクセがなく聴きやすいサウンドで、万人ウケするタイプのイヤホン。

チューニングスイッチもネジ式なのでSIMピンで動かすタイプより扱いやすいし、デザインもシンプルでほどほどに高級感がある。

解像感と分離感からついつい4Uが1DDであるという前提を忘れてしまうほどだ。

ただ、競争激しい1万円クラスのなかではあまりにバランスが取れすぎている気もする。もうすこし高音に煌びやかさがあれば評価は違ったかもしれないけど、同じ価格帯のHeart mirror proのほうが個人的にはおすすめだ。

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